日本女子大学付属豊明小学校 進学

私達は娘が年少の秋から⼩学校受験の準備を始めました。娘はとても天真爛漫で⾃分の思いを臆せず話せる⼀⽅で、落ち着いて話を聞くことが苦⼿な⼥の⼦でした。初めての⼦育てに⼩学校受験への挑戦、先の⾒えない霧の中を歩いているような気持ちでいた時、樋⼝先⽣をご紹介いただき、その⽇のうちにお電話したことを今でもよく覚えております。

先⽣からは娘だけでなく、私達夫婦にも沢⼭の思いやり溢れるお⾔葉をいただき、先⽣と駆け抜けた1年半はかけがえのない時間です。その全てを⾔葉で表すことは難しいですが、先⽣から学ばせていただいた事を感謝の気持ちを込めてここに書かせていただきます。

⼦供の良さを認める

先⽣はまず、その⼦の良さを認めるということを私達に教えてくださいました。当時の娘はじっと椅⼦に座っていることができず、先⽣の話を聞く前に⾃分の話をしてしまうところがありました。「指示を聞く」という⼩学校受験の基本が身についていない娘に焦りを感じていた時、先⽣はまず娘の話に丁寧に⽿を傾け、娘との信頼関係を築くことに時間をかけてくださいました。⾃分の話をいつも笑顔で聞いてくださる先⽣を娘もすぐに⼤好きになり、先⽣はそこから娘にお⾏儀を教えてくださいました。
ペーパーをする前に、「⾜を揃えて⼿はお膝に置いてお話を聞くと問題も解けちゃうのよ!」と娘にこっそり話すと、「ほら出来た!簡単でしょ?」と紙いっぱいに花丸を描いてくださいました。先⽣の魔法の⾔葉に導かれるように少しずつお⾏儀が身についていく姿を⾒て、娘に⾜りない事ばかりを気にし、娘の良さが⾒えなくなっていた⾃分に気づかされました。娘の明るく無邪気な点を良さとして認め、伸ばしてくださる先⽣の声掛けを私達も学ばせていただきたいと思い、ご指導をお願いしました。

⾃分の事は⾃分でする

お⾏儀が身についていくなかで、次の課題は娘の幼さでした。それは娘の⼦供らしい性格からくる部分もあったかと思いますが、先⽣には「まずは⾃分のことは⾃分でするように⽣活を⾒直しましょう。」とアドバイスをいただきました。身⽀度や⽚付け、お⼿伝いなど、今思えば⼩学校受験の基本は「⾃分の事は⾃分でする」に尽きるかと思うのですが、右も左も分からない私達に先⽣は踏むべきステップを⼀つずつ示してくださいました。このような⽣活習慣は⼀朝⼀夕で身につくものではなく、なかなか成⻑が⾒られない娘に挫けそうになる時もありましたが、先⽣はいつも励ましの⾔葉をかけてくださいました。娘のモチベーションを引き出す⽣活⾯での⼯夫や声掛け、娘に合ったお⼿伝い、家族の時間の過ごし⽅など、⻑年のご経験を活かした様々な提案をしてくださり、それは後に願書や⾯接にも活かすことができました。

最後まで決して諦めない

段々と⽣活⾯での⾃⽴は⾒られるようになっても、模試の成績は最後まで伸び悩みました。これも娘の個性なのかもしれませんが、どんな場所も笑顔で楽しく居られる反⾯、娘には試験を受けるという意識が薄いところがありました。着実に実⼒はついてきているものの、⼀回限りの試験に緊張感を持って臨む姿勢がなかなか出来上がらなかったため、ペーパーの出来にも波があり、9⽉になっても結果が数字として表れませんでした。どのように声掛けをすればお姉さんになってくれるのか、何度も⼼が折れそうになりましたが、先⽣は娘の成⻑に合わせてペーパーの量や内容、娘の⼼に響く声掛けを細やかに考えてくださり、課題を⼀つずつ消化するよう励ましてくださいまし。すると、10⽉の⾯接の頃には娘にも⼼の成⻑や落ち着きが⾒られるようになり、最後の最後まで諦めず全⼒でサポートしてくださる先⽣の存在は、まさに私達の⼼の⽀えでした。

“家族”に合う学校選びとは?

⼩学校受験を始めるにあたり、娘には漠然と私(⺟親)の⺟校を考えておりました。しかし、娘は私とは正反対の性格で、私にとって良かった環境=娘にも良いと考えていのだろうか、⾃分の思い出を娘に重ねているだけではないかと、志望校の決定には⼤変悩みました。先⽣はそんな私の取り留めない悩みをいつも親身に聞いてくださり、「親であるあなたが受けさせたい教育を選んでいいのよ。」と温かい⾔葉をかけてくださいました。同時に、娘の性格や考査内容との相性、学校側が求める親の像などを総合的に判断し、併願校も提案してくださいました。結論から申しますと、私の⺟校は受けない選択をしたのですが、その選択ができた背景には先⽣が親である私の考えを決して否定することなく、⼼の整理がつくまで時間をかけて向き合ってくださったからだと感じております。先⽣が常に親の気持ちを尊重してくださったからこそ、最後は夫婦で納得いく学校を選び、迷いなく⾯接や考査に臨むことができました。

憧れだけでは難しい-⼩学校受験の厳しさを痛感したからこそ、⾃分とは違う⼀⼈の⼈間として娘と真剣に向き合い、娘の良さに⽬を向けることができました。⽉齢が決し⾼くない娘には難しい課題も多くあったかと思いますが、⼀度しかない幼少期に家族⼀丸となって娘と奔⾛できたことはとても尊いことで、それが⼩学校受験の良さだと感じております。
決して楽ではない⼩学校受験をこのように悔いなく振り返ることができるのは、⼀重に、どんな時も冷静に私達と向き合ってくださった先⽣のお陰です。私達家族にとってこの上ない学校にご縁を頂き、先⽣には感謝の気持ちでいっぱいです。先⽣とのご縁もまた私達にとって⼤切な宝物となりました。先⽣からかけていただいた沢⼭の愛情を糧に、これからも娘を⼤切に育てて参ります。本当にありがとうございました。